論語の教えで人生を変える【孔子の名言10選】

論語は二千五百年伝えられた古典で、現代においても職場や家庭の人間関係や、自分の成長に悩んだときのヒントになる言葉がつづられており、今を生きる私たちにとっても心の杖とすることのできる名言が多くあります。この記事では、論語の冒頭「学而第一」及び「為政第二」から、10の名言をピックアップし、あなたの人生に活かせる言葉を紹介します。

孔子について

孔子は紀元前500年頃の春秋時代の中国の思想家で、ブッダや老子と同時代人です。孔子の死後に弟子たちがまとめた孔子の言行録が「論語」。孔子には三千人の弟子がいたと言われており、それだけ人を惹きつける魅力のある先生だったのでしょう。

孔子のお母さんは身分の低い巫女であり、孔子は私生児だったかもしれません。孔子はお母さんの手伝いをして儀式や礼について学んだと考えられます。「論語」は、貧しい、恵まれない境遇から世界の三大聖人になった孔子の言行録とも言えます。

論語の次の個所は、孔子の自伝です。

吾(われ)十有五(じゅうゆうご)にして学(がく)に志(こころざ)し、三十(さんじゅう)にして立(た)ち、四十(しじゅう)にして惑(まど)わず、五十(ごじゅう)にして天命(てんめい)を知(し)る、六十(ろくじゅう)にして耳(みみ)順(したが)う、七十(ななじゅう)にして心(こころ)の欲(ほっ)する所(ところ)に従(したが)えども矩(のり)を踰(こ)えず。

現代語訳:私は15歳のときに学問に志した。30歳で一人前になった。40歳で惑うことがなくなり、50歳で天命を知った。60歳になり、人の言うことを素直に受け入れられるようになった。70歳になって心のままに話し、行動しても言い過ぎ、やりすぎが無くなった。

恵まれない境遇を反映して学問を志す年齢は15歳と早くはありません。

「心(こころ)の欲(ほっ)する所(ところ)に従(したが)えども矩(のり)を踰(こ)えず。」は人徳が完成し、自由を獲得した人間の理想の境地ですが、孔子は72歳~74歳で亡くなったと言われているため、この言葉は孔子が最晩年に人生を回顧した言葉と考えられます。この境地で過ごしたのは人生の数年に過ぎないと述べており、謙虚で自分に厳しい人だったことがうかがえます。

論語について

孔子の死後に、弟子たちが「先生がこう言われた」と書物にしたのが「論語」。
「学而第一」~「堯曰第二十」までの20章、約500の章句に孔子や孔子の高弟の言葉、孔子と弟子たちのやりとりが記されており、一つ一つの章句は短文であることが特徴です。日本には5世紀から6世紀頃、百済や中国から渡来した五経博士などによって伝えられました。

孔子の思想の特徴は、人として実践すべき道義や、人間関係における道徳的秩序である「礼」を重視したことです。
論語では宇宙を支配する理法が「天(てん)」と表現されていますが、天は宗教的な神ではありません。孔子はあくまで天=宇宙の理法の下での人間の倫理的な在り方や行動、「人として歩むべき道」を重視しました。神ではなく人の道義・道徳・秩序を中心とするのが孔子の思想の特徴です。

現代社会においても、誰でも「論語」の言葉をヒントとして、聖人=りっぱな人になるために一歩を踏み出し、歩んでゆくことができます。

論語の名言

論語の冒頭「学而第一」及び「為政第二」から、孔子先生とその弟子たちの10の名言をピックアップしました。

【学ぶよろこび】

ポイント:人生は学び。出世とかお金ではない。
学び続けることで成長し、人生が豊かになると感じることができる。

1.子(し)曰(いわ)く、学(まな)びて時(とき)に之(これ)を習(なら)う、亦(また)説(よろこ)ばしからずや。

現代語訳:孔子先生は言った。学んだことを、時にふれて復習するのは、楽しいことだ。

【本音で話す】

ポイント:相手への思いやりを持って本音で話すことは大切。

3.子(し)曰(いわ)く、巧言(こうげん)令色(れいしょく)、鮮(すくな)いかな仁(じん)。

現代語訳:孔子先生は言った。作り笑いでお世辞を言うのは、相手への思いやりがない。

【仕事を得るには1】

ポイント:自分が仕事を得る、抜擢されるには、自分が「温(おん・穏やか)・良(りょう・素直)・恭(きょう・うやうやしい)・倹(けん・つつましい)・譲(じょう・控えめ)」となっているかを省みる。

10.子夫子(ふうし)は温(おん)・良(りょう)・恭(きょう)・倹(けん)・譲(じょう)、以(もっ)て之(これ)を得(え)たり。

現代語訳:孔子先生は、おだやかで、素直で、うやうやしく、つつましく、控えめな方だ。このような人柄により、仕事を得ている。

【自分を磨く】

ポイント:立派な人になるには、石を研磨して磨くかのように「切磋琢磨」で自分磨きをする。
困難な経験も自分磨きには必要かもしれない。

15.詩(し)に云(い)う、切(せっ)するが如(ごと)く、磋(さ)するが如(ごと)く、琢(たく)するが如(ごと)く、磨(ま)するが如(ごと)し

現代語訳:詩経に、『切(せっ)するが如(ごと)く、磋(さ)するが如(ごと)く、琢(たく)するが如(ごと)く、磨(ま)するが如(ごと)し』とある

【人に気をつかう】

ポイント:「こんなに頑張っているのに認められない」と気に病むよりも、自分は誰かのことを認めることをしているか、と気にした方がいい。

16.子(し)曰(いわ)く、人(ひと)の己(おのれ)を知(し)らざるを患(うれ)えず、人(ひと)を知(し)らざるを患(うれ)う。

現代語訳:孔子先生はこのように言った。他の人が自分のことを知らないといって気に病むことはない。それより、自分が他の人のことを知らないことを心配すべきだ。

【人徳によるマネジメント】

ポイント:マネジメントをするときに、徳で組織をマネージすれば、北極星のような存在になれる。徳とは、自己の最善を他者に尽くすことであり、天のエネルギー、勢いを呼び込むこと。

17.子(し)曰(いわ)く、政(まつりごと)を為(な)すに徳(とく)を以(もっ)てするは、譬(たと)えば北辰(ほくしん)の其(そ)の所(ところ)に居(い)て、衆星(しゅうせい)の之(これ)に共(きょう)するが如(ごと)し。

現代語訳:孔子先生はこのように言った。「政治をするのに、徳をもってするのは、北極星が自らは動くことなく、多くの星たちが同調してその周囲をめぐるようなものである。」

【孔子先生の人間観察術】

ポイント:その人がどんな人か観察するには、神棚に手を合わせるときのように心をすまして行動だけでなく、その動機や、どんな結果に満足するかを見る。

26.子(し)曰(いわ)く、其(そ)の以(もっ)てする所(ところ)を視(み)、其(そ)の由(よ)る所(ところ)を観(み)、其(そ)の安(やす)んずる所(ところ)を察(さっ)すれば、人(ひと)焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人(ひと)焉(いず)くんぞ廋(かく)さんや。

現代語訳:孔子先生はこのようにおっしゃった。「その人の行動を見て、どのような動機でそうしたのかを推し量り、どのような結果に安心するのかをよく観察すれば、その人の人となりは隠しようがない、人となりは隠しようがない。」

【古典を今に活かす】

ポイント:温故知新(おんこちしん)。古典を読んで今に活かす。

27.子(し)曰(いわ)く、故(ふる)きを温(あたた)めて新(あたら)しきを知(し)れば、以(もっ)て師(し)為(た)る可(べ)し。

現代語訳:孔子先生はこのようにおっしゃった。「古典を繰り返し読んで、そこから新たな発見ができるようになれば、人に教えることができる。」

【仕事を得るには2】

ポイント:職を得るには、見聞を広げ、判断力をもって不確かな情報は除いて慎重に言動に移す。

34.多(おお)く聞(き)きて疑(うた)がわしきを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を言(い)えば、則(すなわ)ち尤(とがめ)寡(すくな)し。多(おお)く見(み)て殆(あやう)きを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を行(おこな)えば、則(すなわ)ち悔(く)い寡(すくな)し。言(げん)に尤(とが)め寡(すくな)く、行(おこな)いに悔(くい)寡(すくな)ければ、禄(ろく)其(そ)の中(うち)に在(あ)り。

現代語訳:多くのことを聞いて疑わしいものは除き、慎重にそれ以外のことを言えば、とがめられることが少ない。多くのものを見て危ういものは除いて、慎重にそれ以外のことを行えば、後悔することが少ない。言葉にとがめられる点が少なく、行動に後悔が少なければ、俸禄はついてくる。

【自分やるべきことをやる勇気を持つ】

ポイント:自分が本当にやるべきことが目の前にあるのに、それをやらないのは勇気がない。

40.義(ぎ)を見(み)て為(な)さざるは、勇(ゆう)無(な)きなり。

現代語訳:自分が本来しなければならないことが分かっているのにしないのは、勇気がない。

論語10の名言まとめ

  • 人生は学び。出世とかお金ではない。(1)
  • 話すときは、相手への思いやりを持って本音で話す。(3)
  • 仕事を得たり、抜擢されるには、自分が穏やかで、素直で、人をうやまい、つつましく控えめであるかを省みる。(10)
  • 立派な人になるには、石を研磨して磨くかのように「切磋琢磨(せっさたくま)」で自分磨きをする。(15)
  • 「こんなに頑張っているのに認められない」と気に病むよりも、自分は誰かのことを認めているのかを気にした方がいい。(16)
  • 組織のマネジメントは徳をもってする。徳とは自己の最善を他に尽くすこと。また組織に天のエネルギーを呼び込むこと。(17)
  • 人間観察は神棚に手を合わせるときのように心をすまして相手の行動だけでなく、その動機や、どんな結果に満足するのか、心の中までおしはかって見る。(26)
  • 温故知新(おんこちしん)で、古典を読んだら今に活かし、自分が教師になって周囲に伝える。(27)
  • 職を得るには、まず見聞を広げ、その上で判断力をもって不確かな情報は除いて言動は慎重にする。(34)
  • どうでもよい情報に翻弄されることなく、自分の本来やるべきことをやる。それをしないのは勇気がない。(40)

論語についてもっと知りたい方には、 田口佳史先生の「論語の一言」をおすすめします。