
孔子先生は、立派な人は世の中で働くとき、こだわりや思い込みを持っていないけれども、決していいかげんではなく、社会や人々のために尽力すると言います。
「75. 現代に必要な心の強さとは?」は、物質的な成功だけを追い求めることが、立派な人の道ではないという話でした。この章句では、では立派な人が目指すべきことは何なのかが語られています。
衣服や食事が質素なことを恥じることなく、何か特定の目標に固執せず、社会に貢献するために自分の力を使っている人。そんな人を孔子先生は立派だと評価しました。
この考え方は現代の自己中心的な競争社会の中で必要とされる「心の強さ」を養うヒントを与えてくれます。他人と比較しての自己評価ではなく、自分の行動が他の人のためにどう役立っているかに意識を向けること、例えば仕事においても、チームや会社、お客様、社会のために自分に何ができるかを考えることは大切です。
漢文と書き下し文
子曰、君子之於天下也、無適也、無莫也。義之與比。
子(し)曰(いわ)く、君子(くんし)の天下(てんか)に於(お)けるや、適(てき)も無(な)く、莫(ばく)も無(な)し。義(ぎ)と与(とも)に比(ひ)す。
現代語訳
孔子先生はこのようにおっしゃった。「りっぱな人は世の中において、ものごとにとらわれないけれども、志が無いのではない。正しい道理に従って公益のために尽くしている。」
解説
- 天下(てんか):世の中、社会
- 適(てき):特定の目標を目指して進むこと
- 莫(ばく):目指すところがないこと
- 義(ぎ):人として守るべき正しい道。自己中心的な考えを捨て、公共のためにすること。
- 比(ひ)す:親しむ、従う


