論語【雍也第六】129. 貧しくても安らかに道を楽しむ

孔子先生は、貧しい生活を憂うことなく、生きる楽しみを見出している顔回を賢いなあとおっしゃいます。顔回が貧しい生活の中で楽しんでいるものは何でしょうか。「安貧楽道(あんぴんらくどう」という言葉があり、「貧しくても安らかに道を楽しむ」意味だそうです。顔回はこれができていたんですね。

Live at Peace with Poverty and Take Delight in the Way
Confucius praised Yanhui, saying, “What a truly virtuous man!”—for he did not let poverty trouble his heart, but continued to find joy in life. What was it that he enjoyed amidst such hardship? There is a saying in Japanese, anpin rakudō (安貧楽道), meaning “to live at peace with poverty and take delight in the Way.” Yanhui was a man who embodied this very ideal.

漢文と書き下し文

子曰、賢哉回也。一簞食、一瓢飮、在陋巷。人不堪其憂。回也不改其樂。賢哉回也。 子(し)曰(いわ)く、賢(けん)なるかな回(かい)や。一簞(いったん)の食(し)、一瓢(いっぴょう)の飲(いん)、陋巷(ろうこう)に在(あ)り。人(ひと)は其(そ)の憂(うれい)に堪(た)えず。回(かい)や其(そ)の楽(たのし)みを改(あらた)めず。賢(けん)なるかな回(かい)や。

現代語訳

孔子先生はこのようにおっしゃった。「賢いなあ、顔回は。竹の器に一杯だけの粗末な食事と、ひょうたんの入れ物に入るだけの飲み物。それでむさくるしい裏路地の粗末な家に住んでいる。誰もが嫌になるような貧乏暮らしをしながら、顔回は一向に気にしない様子で、楽しそうに生活している。賢いなあ、顔回は。」

解説

  • 賢(けん):才知・人格がすぐれている。かしこい人。
  • 回(かい):顔回(がんかい)。顔淵(がんえん)とも呼ばれた。孔門十哲の一人で、随一の秀才。孔子がその将来を嘱望した弟子で、孔子より三十歳年少だが孔子より早く亡くなり、孔子は「天(てん)予(われ)を喪(ほろ)ぼせり」と嘆いた(先進第十一)。名誉栄達を求めず、その暮らしぶりは極めて質素だった。参考:Wikipedia 顔回
  • 一簞(いったん)の食(し)、一瓢(いっぴょう)の飲(いん):竹の器一つだけの料理と、瓢簞(ひょうたん)一つだけの飲みもの。とても貧しい生活のたとえ。また、貧しい生活を楽しむことのたとえ。
  • 陋巷(ろうこう):狭くむさくるしい町。
  • 憂(うれい):うれえる、なやむ、おもいわずらう、くるしむ、おそれる。