論語【公冶長第五】114. 孔子先生は人に仕えるより人を育てたい

孔子先生は諸国遍歴をして、陳にいらっしゃいました。そこで祖国である魯へ「帰ろう、帰ろう」とおっしゃっています。帰りたい理由は、祖国に残してきた弟子たちの教育に使命と情熱を感じているから。諸国遍歴をしても仕官したい諸侯もいない切なさと、一方では祖国の若者の教育への情熱が感じられる章句です。

Education over Participating in Politics
Confucius traveled through various countries and came to Chen. There, he said, “Let’s go back, let’s go back,” expressing his longing for his homeland, Lu. He wished to return because he felt a deep sense of mission and passion for educating the disciples he had left behind. This chapter reflects his loneliness at finding no lords he wishes to serve despite traveling to many countries, while also highlighting his unwavering passion for educating the youth of his homeland.

漢文と書き下し文

子在陳曰、歸與、歸與。吾黨之小子狂簡、斐然成章。不知所以裁之。 子(し)、陳(ちん)に在(あ)りて曰(いわ)く、帰(かえ)らんか、帰(かえ)らんか。吾(わ)が党(とう)の小子(しょうし)、狂簡(きょうかん)にして、斐然(ひぜん)として章(しょう)を成(な)す。之(これ)を裁(さい)する所以(ゆえん)を知(し)らず。

現代語訳

孔子先生は、あるとき陳にいてこのようにおっしゃった。「帰ろう、帰ろう、私の故郷の村の門人たちは、志は大きいが未完成だ。彼らは大きな可能性を秘めているが、学びをどう生き方の実践に落とし込んでゆけばいいのか分からずにいる。」

解説

  • 陳(ちん):春秋戦国時代の国名。
    参照:春秋戦国時代~諸国分立の時代~【勢力図・地図・年表】
  • 帰(かえ)らんか、帰(かえ)らんか:(自分の祖国の魯に)帰ろう、帰ろう。 諸国遍歴のさみしさが感じられる。
  • 吾(わ)が党(とう)の小子(しょうし):私の故郷の村の門人、弟子、若者
  • 狂簡(きょうかん):志は大きいが、行いがそれに伴わず疎略なこと。
  • 斐然(ひぜん):あやのある美しさ
  • 章(しょう):織物の模様
  • 裁(さい)する:布を切って衣服をしたてる。
  • 所以(ゆえん):あることを行なうやり方。