【易経講話】18. 山風蠱ー敗れ壊れたものを修める

蠱は物事が久しくなって敗れ壊れていろいろな悪い事故が起こること。蠱の字は皿の上にたくさんの虫がいる形。虫がついて腐敗している。泰平が長く続くときは国の内部がだらけて頽廃する。いかなるよい政治、よい制度でも久しくなると色々な弊害が出てくる。蠱はそれを処置する道を説く。

世の中が乱れ敗れることの頂上に達するときは、そこに、それが一変してまた治まるようになるべき機会がある。しかし何もしないで世の中の情勢が変わるのを待つことは無益。勇気を奮い起こして、進んで幾多の艱難辛苦を突破して世の中を刷新することを行うべき。

世の中の弊風を一新しようとするには、十年、二十年前にさかのぼって今の悪風が起こるに至った来歴を考慮する。そして今日この方針に従って改革したならば、この後世の中の情態はどうなるか、三年、五年、十年後に生じる結果を十分に考慮する。

Mountain over Wind: Gu — Work on What Has Been Spoiled
The hexagram Gu signifies the breakdown that occurs when things endure for too long, giving rise to various misfortunes. The character gu depicts a dish filled with insects—an image of decay caused by infestation. When peace and stability persist over an extended period, a nation’s internal life grows lax and decadent. No matter how sound the governance or institutions, over time they inevitably produce various harmful effects. Gu sets forth the proper means for dealing with such conditions.

When society reaches the extreme of disorder and decay, an opportunity arises for it to undergo transformation and return to order. Yet waiting passively for circumstances to change is futile. One must summon courage, press forward, overcome countless hardships, and actively undertake the renewal of society.

To fundamentally reform society’s corrupt customs, one must look back ten or twenty years to examine how today’s harmful practices came into being. At the same time, one must fully consider what consequences will arise three, five, or ten years into the future if reforms are carried out today in accordance with this course of action.

彖(たん)の辞

蠱、元亨。利渉大川。先甲三日。後甲三日。
蠱(こ)は、元(おお)いに亨(とお)る。大川(たいせん)を渉(わた)るに利(よ)ろし。甲(こう)に先(さき)だつこと三日(みっか)、甲(こう)に後(おく)るること三日(みっか)。

読書メモ

  • 蠱は物事が久しくなって敗れ壊れていろいろな悪い事故が起こること。蠱の字は皿の上にたくさんの虫がいる形。器物を虫が食っている。皿の上のものにたくさんの虫がついて腐敗している。
  • 蠱は年月が久しくなって者あるいは事の内部が腐敗すること。泰平が長く続くときは国の内部がだらけて頺敗(たいはい)する。
  • いかなるよい政治、よい制度でも久しくなると色々な弊害が出てくる。蠱はそれを処置する道を説く。
  • 前の雷地豫の卦で悦び楽しんで人が自分に随い、自分もまた人に随い、泰平安楽が永く続くときは、いろいろな事故、いろいろな壊れが出て来る。
  • 歴史を見ても、すぐれたる英雄天子であっても長い在位の後には蠱なきことを得なかった例は繰り返されている。

彖の辞の解説

  • 蠱は、物事が久しくなって、紀律が乱れて、いろいろな弊害が出てきた。すべて物事がゆきづまれば、必ず変化して通ずるようになる。
  • 蠱すなわち世の中が乱れ敗れることの頂上に達するときは、そこに、それが一変してまた治まるようになるべき機会がある。だから「元(おお)いに亨(とお)る」という。
  • しかし何もしないで世の中の情勢が変わるのを待つことは無益。勇気を奮い起こして、進んで幾多の艱難辛苦を突破して世の中を刷新することを行うべき。それが「大川(たいせん)を渉(わた)るに利(よ)ろし」。
  • 世の中の弊風を一新しようとするには、十年、二十年前にさかのぼって今の悪風が起こるに至った来歴を考慮するべき。それが「甲(こう)に先(さき)だつこと三日(みっか)」。
  • 「甲(こう)に後(おく)るること三日(みっか)」は、今日この方針に従って改革したならば、この後世の中の情態はどうなるであろうか、三年、五年、十年後に生じる結果を十分に考慮すること。