老子【成象第六】万物を生み出す力

Photo by Greg Rakozy

【成象第六】書き下し文

谷神(こくしん)死(し)せず。是(これ)を玄牝(げんぴん)と謂(い)う。玄牝(げんぴん)の門(もん)、是(これ)を天地(てんち)の根(こん)と謂(い)う。綿綿(めんめん)として存(そん)するが若(ごと)く、之(これ)を用(もち)うれども勤(つか)れず。

【成象第六】現代語訳

谷の神は死なない。これを牝(めす)の神秘という。牝(めす)の神秘の門が、天地を生み出した根源だ。ずっと途絶えることなく存在しているようで、生み出す力は尽きることがない。

解釈とコメント

  • 老子道徳経では、宇宙の根源である道を母と見る。
    その母のありようを自分のありようとすることが道で、それができる人が徳のある人(=道徳)。 この節は、道を感得して道のように生きることができるよう、道とは何かを説明するもののひとつ。
  • 天は母親としていりいろなものを生み続けて、もうやめようということはない。
    このように、この世の原理は創造。道徳はモラルというけれど、クリエイティビティが大事。
    夜空には無数の星があるけれど衝突しないように、秩序はあるけれども、エネルギッシュでダイナミックな創造性が宇宙のありようで、革新が大切。
  • 玄牝(げんぴん)とは女性の生殖器のこと。
  • 中国南方の農耕民族の思想である老荘は、母性を重視する。
    中国北方の騎馬民族の思想である儒教が父性重視であることと対照的。