論語【里仁第四】79. 組織を治めるには秩序と譲り合い

孔子先生は、組織運営に必要なのは、「礼譲(れいじょう)」であるとおっしゃいます。

「礼」のしめすへんは祭壇や神様へのお供え物の台をあらわし、神様を祭る儀式の儀礼の意味からはじまり、宮廷儀礼や階級の定め、さらには国家運営のための制度全体を意味します。しかしもともとが神事の意味からはじまっていますから、神に祈るような真心、へりくだりの心が「礼」には欠かせません。

「礼譲」とは、国や組織の秩序を整えるのに、譲り合いの精神を大切にすること。このようにすれば国は難なく治まるけれども、もし組織の秩序形成に譲り合いの精神がないなら、形式的に制度だけ整えても無駄だと断じます。

孔子先生にとっての国政とは、強者と強者が競争して戦うことではなく、社会的にやるせない立場の弱者をいかに救うかが要点であったんだろうなあ。「譲り合う」とは実は合理性で、現代社会を考えても、例えば人口が減少する日本において、社会的弱者の救済は福祉というより人を活かして経済をまわす原動力とする合理性と考えられます。

漢文と書き下し文

子曰、能以禮讓爲國乎、何有。不能以禮讓爲國、如禮何。

子(し)曰(いわ)く、能(よ)く礼譲(れいじょう)を以(もっ)て国(くに)を為(おさ)めんか、何(なに)か有(あ)らん。能(よ)く礼譲(れいじょう)を以(もっ)て国(くに)を為(おさ)めずんば、礼(れい)を如何(いかん)せん。

現代語訳

孔子先生はこのようにおっしゃった。「国の秩序を整えるのに、譲り合いの精神をもってすれば、国を治めるのに何の困難があるだろう。しかし国の制度に譲り合いの精神が無いのであれば、形式だけ整えても何にもならない。」

解説

  • 礼譲(れいじょう):礼儀正しく譲ること。礼儀正しくへりくだった態度をとること。礼には、謙譲(けんじょう・ひかえ、へりうだって人に譲ること)、謙下(けんげ・へりくだること)が含まれている。
  • 何(なに)か有(あ)らん:何の難しいことがあろうか
  • 国が治まらないのは、礼譲(れいじょう)がないから。
  • 礼(れい):礼儀作法・制度・儀式、国家を維持し運営してゆくためのシステムの総体