論語【為政第二】37. 家庭は社会のトレーニング場

今日の孔子先生への質問は、「先生は、なぜ政治をなさらないのですか?」という直球質問。「ある人」が質問したとありますが、どんな立場の方だったか気になります。

孔子先生のお答えも直球で、「自分は、政治をしていないと思っていない。古典にも、家庭でまず親孝行や兄弟の友愛を学び実践する大切さが説かれており、これが政治に資すると考えている」とのこと。

大学にも、「その国を治めんと欲(ほっ)せし者は先ずその家を斉(ととの)へたり。その家を斉(ととの)えんと欲(ほっ)せし者は先(ま)ずその身(み)を脩(おさ)めたり。その身(み)を脩(おさ)めんと欲(ほっ)せし者(もの)は先(ま)ずその心(こころ)を正(ただ)しくせり。」とありました。

ひとりひとりが正しい心で、まずは家庭の中で社会のルールを学ぶことが国の礎となる、という考え方が儒教にはあるのですね。

書き下し文

或(あ)るひと孔子(こうし)に謂(い)いて曰(いわ)く、子(し)奚(なん)ぞ政(まつりごと)を為(な)さざると。子(し)曰(いわ)く、書(しょ)に云(い)う、孝(こう)なるかな惟(こ)れ孝(こう)、兄弟(けいてい)に友(ゆう)に、有政(ゆうせい)に施(ほどこ)すと。是(これ)も亦(また)政(まつりごと)を為(な)すなり。奚(なん)ぞ其(そ)れ政(まつりごと)を為(な)すを為(な)さん。

現代語訳

ある人が孔子先生にこのように言った。「先生はなぜ政治の仕事をされないのですか」と。孔子先生は、このように答えた。「書経に、まず家庭の中で親孝行を学び、兄弟の間で友愛がある、これが大切で、これも政治の基礎をなすものであるから、政治の仕事をしていることになると思っている。なぜ政治の仕事をしていないことになるのか。」

字句の解説

  • 奚(なん)ぞ:どうして
  • 書(しょ):書経
  • 有政(ゆうせい):政治