
先生が病気になり、危篤状態になったことがありました。弟子の中でも年長者だった子路は、先生のために立派な葬式をしようと、弟子たちに臣下の役割を与え、地位の高い人としての葬儀の準備を始めました。
その後先生は小康状態をとりもどされ、そんなのはあざむくことで良くない、天をあざむくことになる、と子路を注意しました。
先生はさらに、私は高位高官として家臣にみとられたいのではない。おまえたちの先生として、おまえたち弟子たちにみとられたいのだ、とおっしゃいました。
To Die as a Teacher, With My Disciples at My Side
Once, the Master fell ill and was in critical condition. Zilu, one of the senior disciples, began preparing a funeral befitting a high-ranking official, assigning the other disciples the roles of retainers.
Later, when the Master’s condition improved, he admonished Zilu, saying, “This is a form of pretense. It is not right—it would amount to deceiving Heaven.”
He further said, “I do not wish to have vassals at my side at my death. I wish to have you, my disciples, by my side as your teacher.”
漢文と書き下し文
子疾病。子路使門人爲臣。病間曰、久矣哉、由之行詐也。無臣而爲有臣。吾誰欺。欺天乎。且予與其死於臣之手也、無寧死於二三子之手乎。且予縦不得大葬、予死於道路乎。
子(し)、疾(やまい)病(へい)なり。子路(しろ)、門人(もんじん)をして臣(しん)たらしむ。病(やまい)間(かん)にして曰(いわ)く、久(ひさ)しいかな、由(ゆう)の詐(いつわり)を行(おこな)うや。臣(しん)無(な)くして臣(しん)有(あ)りと為(な)す。吾(われ)誰(たれ)をか欺(あざむ)かん。天(てん)を欺(あざむ)かんや。且(か)つ予(われ)其(そ)の臣(しん)の手(て)に死(し)せんよりは、無寧(むしろ)二三子(にさんし)の手(て)に死(し)せんか。且(か)つ予(われ)縦(たと)い大葬(たいそう)を得(え)ざるも、予(われ)は道路(どうろ)に死(し)せんや。
現代語訳
先生の病気が危篤となったことがあった。子路は弟子たちに孔子の臣下としての役割を与え、孔子を高位の人の扱いで立派な葬式をしようとした。先生は小康状態になられたとき、子路に対して、「またおまえは人をあざむくようなことをして。私に臣下などいないのに、臣下がいることにするとは。私は誰をだまそうというのだ。天を欺くことになる。それに私は、地位の高い人間として臣下たちにみとられるより、おまえたちの先生として弟子にみとられたいのだ。もし私の葬式が立派なものでなかったとしても、私が道路で死んでるっていうことはないだろう」とおっしゃった。
解説
- 疾(やまい)病(へい)なり:病気で危篤になった
- 子路(しろ)/由(ゆう):子路は孔子より九歳年下で門人中最年長者。孔門十哲のひとり。力が強く武勇に優れており、弟子の中でも剛勇無双であった。性格はいささか軽率な面もあるが、正義感が強く率直な人柄は孔子にも愛され、「論語」への登場回数は最多。 参考:Wikipedia 子路
- 門人(もんじん)をして臣(しん)たらしむ:立派な葬式の準備を始める(弟子たちに孔子の臣下としての役割を与え、孔子を高官の扱いで葬式をしようとした)
- 病(やまい)間(かん)にして:小康状態になって
- 久(ひさ)しいかな:しばらくぶりである
- 詐(いつわり):あざむく、いつわる
- 二三子(にさんし):きみたち、おまえたち、弟子の諸君
- 大葬(たいそう):地位の高い人の立派な葬儀
- 予(われ)は道路(どうろ)に死(し)せんや。:まさか私が道路で死んでるということはないだろう


