論語【子罕第九】209. 倹約なら今風もよい

孔子先生は、古代王朝である周の礼法を理想と考えています。でも例えば節約のために冠の素材を変更して礼法を簡素化することには賛成です。一方、君主に対して堂下からではなく、堂に上がって君主と同じレベルで礼をするような変更は驕りなので、たとえそれが今風でも従えない、とおっしゃいます。先生は現実的にものごとを考える方ですね。

Modern Ways Are Fine—If They Serve Economy
Confucius regarded the rites of the ancient Zhou dynasty as the ideal. However, he approved of simplifying the rites—for example, changing the material of ceremonial headgear for the sake of economy. On the other hand, he said that changes such as ascending the dais to perform rites at the same level as the ruler, rather than remaining below, were acts of arrogance. Even if such practices were common nowadays, he would not go along with them. He was a very pragmatic thinker.

漢文と書き下し文

子曰、麻冕禮也。今也純儉。吾從衆。拜下禮也。今拜乎上泰也。雖違衆、吾從下。
子(し)曰(いわ)く、麻冕(まべん)は礼(れい)なり。今(いま)や純(じゅん)なるは倹(けん)なり。吾(われ)は衆(しゅう)に従(したが)わん。下(しも)に拝(はい)するは礼(れい)なり。今(いま)、上(かみ)に拝(はい)するは泰(たい)なり。衆(しゅう)に違(たが)うと雖(いえど)も、吾(われ)は下(しも)に従(したが)わん。

現代語訳

孔子先生はこのようにおっしゃった。「麻の冠は古来からの礼法だ。今は絹糸の冠になったが、それは倹約のためである。私はみなと同じように(絹の冠に)しよう。君主が上にいらして、臣下は堂下から礼をするのが古来からの礼法だ。今は堂上に上がって君主と同じ高さで礼をするが、これは驕りである。他の人たちとは異なるが、私は堂下から礼をする。」

解説

  • 麻冕(まべん):麻の冠
  • 礼(れい):周の礼
  • 純(じゅん):絹糸
  • 倹(けん):倹約、節約
  • 下(しも)に拝(はい)する:(君主が上にいて)堂下から礼をする
  • 上(かみ)に拝(はい)する:堂上に上がって(君主と同じ高さで)礼をする
  • 拝(はい)する:頭を垂れて、敬礼する。
  • 泰(たい):驕り、傲慢