論語【述而第七】178. 過ちはすぐ改める

孔子先生が魯国の君主についての人物評価を誤り、その誤りを指摘されました。すると先生は、「私は幸せだなあ。間違えることがあると、誰かが必ず気づいて教えてくれる。」とおっしゃいました。自分の過ちを正してくれる人がいるのは幸いだ、というのです。過ちを犯したらすぐ改めることが重要なんですね。

Be Swift to Correct Your Errors
Confucius once made an error in his assessment of a ruler in the state of Lu, and someone pointed out the mistake. In response, he said, “How fortunate I am! Whenever I make a mistake, someone is sure to notice it and tell me.” By this, he meant that it is a blessing to have people who will correct one’s errors. It shows how important it is to be able to amend one’s mistakes swiftly when they occur.

漢文と書き下し文

陳司敗問、昭公知禮乎。孔子曰、知禮。孔子退。揖巫馬期而進之曰、吾聞、君子不黨。君子亦黨乎。君取於呉。爲同姓、謂之呉孟子。君而知禮、孰不知禮。巫馬期以告。子曰、丘也幸。苟有過、人必知之。
陳(ちん)の司敗(しはい)問(と)う、昭公(しょうこう)は礼(れい)を知(し)れるかと。孔子(こうし)曰(いわ)く、礼(れい)を知(し)れりと。孔子(こうし)退(しりぞ)く。巫馬期(ふばき)を揖(ゆう)して之(これ)を進(すす)めて曰(いわ)く、吾(われ)聞(き)く、君子(くんし)は党(とう)せずと。君子(くんし)も亦(また)党(とう)するか。君(きみ)、呉(ご)に取(めと)る。同姓(どうせい)なるが為(ため)に、之(これ)を呉孟子(ごもうし)と謂(い)う。君(きみ)にして礼(れい)を知(し)らば、孰(たれ)か礼(れい)を知(し)らざらんと。巫馬期(ふばき)以(もっ)て告(つ)ぐ。子(し)曰(いわ)く、丘(きゅう)や幸(さいわい)なり。苟(いやし)くも過(あやまち)有(あ)れば、人(ひと)必(かなら)ず之(これ)を知(し)ると。

現代語訳

陳国の司法長官が、「魯の君主である昭公は礼を知っていますか」と質問した。孔子先生は答えて、「礼を知っています」と答えてその場を退いた。すると司法長官は孔子の弟子の巫馬期に挨拶して近くに呼び、「私はりっぱな人は仲間びいきはしないと聞いているが、りっぱな人でも仲間びいきすることがあるのだろうか。昭公は呉国より妃を迎えたが、同姓であるため結婚はできないはずなのに、呉孟子と呼んでめとってしまいました。昭公が礼を知っているというなら、誰が礼を知らないといえるのでしょうか。」と言った。巫馬期はこれを先生に伝えた。すると先生は、「私は幸せだなあ。間違えることがあると、人が必ず気づいて教えてくれる」とおっしゃった。

解説

  • 陳(ちん):春秋時代の国名
  • 司敗(しはい):司法長官
  • 昭公(しょうこう):孔子の祖国である魯の君主
  • 巫馬期(ふばき):孔子の門人の名前
  • 揖(ゆう)す:両手を胸の前で組み、上下または前後に動かして敬意を表わす礼をする。
  • 党(とう)せず:仲間びいきはしない
  • 呉(ご):春秋時代の国名
  • 同姓(どうせい)なるが為(ため)に:同姓だと当時の慣習により結婚はできない