
孔子先生のところに、劣悪な環境で育った子どもが訪ねてきたところ、先生はその子に面会されたので、弟子たちはどうして会うのだろうかと驚き戸惑いました。すると先生は、「進歩しようとしている子どもは助けてやりたいと思った。その子がもっと悪くなることは避けなければならない。出自だけで子どもを判断することは行き過ぎである。人が自分の志を正しくして進もうとしているのであれば、それを助けてやりたい。だからといって、その子の将来まで保証してやることはできないが。」とおっしゃいました。
孔子先生ご自身も卑しい出身からご自身の努力で身を立てられた方ですから、出自に関わらず個人のやる気を評価されたのですね。ただ、将来まで保証はできない、という慎重な面も見られます。
Do Not Judge People by Their Origins
A child who had grown up in harsh circumstances came to visit Confucius. When the Master received the child, his disciples were surprised and puzzled, wondering why he would do so. The Master explained, “I wished to help a child who is striving to better himself. We must prevent him from falling into further wrongdoing. To judge a child solely by his background goes too far. If a person sets his aspirations on the right path and seeks to move forward, I wish to help him. That does not mean, however, that I can guarantee his future.”
Confucius himself rose from humble origins through his own efforts, and thus valued individual motivation regardless of background. At the same time, his cautious nature is evident in his acknowledgment that he could not guarantee the child’s future.
漢文と書き下し文
互郷難與言。童子見。門人惑。子曰、與其進也。不與其退也。唯何甚。人絜己以進、與其絜也。不保其往也。
互郷(ごきょう)与(とも)に言(い)い難(がた)し。童子(どうじ)見(まみ)ゆ。門人(もんじん)惑(まど)う。子(し)曰(いわ)く、其(そ)の進(すす)むに与(くみ)するなり。其(そ)の退(しりぞ)くに与(くみ)せざるなり。唯(ただ)何(なん)ぞ甚(はなはだ)しきや。人(ひと)、己(おのれ)を絜(きよ)くして以(もっ)て進(すす)まば、其(そ)の絜(きよ)きに与(くみ)せん。其(そ)の往(おう)を保(ほ)せざるなり。
現代語訳
互郷という劣悪な環境の村の子どもが孔子先生を訪ねてきて、面会を許された。門人たちはなぜ会うのかと困惑した。すると先生は、「進歩しようとしている子どもは助けてやろうと思った。その子がもっと悪くなることは避けなければならない。出自だけで子どもを判断することは行き過ぎである。人が自分の志を正しくして進もうとしているのであれば、それを助けてやりたい。だからといって、その子の将来まで保証してやることはできないが。」
解説
- 互郷(ごきょう):村の名前
- 与(とも)に言(い)い難(がた)し:ともに話しができない。話せる相手ではない。風俗が良くない、劣悪な環境である。
- 童子(どうじ):子ども
- 見(まみ)ゆ:お目にかかる、お会いする
- 進(すす)む:進歩する
- 与(くみ)する:助ける、協力する
- 退(しりぞ)く:後退する、悪くなる
- 甚(はなはだ)しき:程度がはげしい。度を越えている。
- 絜(きよ)く:身を清くする、自己修養する
- 往(おう):これから先。将来。


