論語【雍也第六】146. 誠を天に誓う

孔子先生が衛の霊公の夫人である南子にお会いになりました。南子は影響力のある人物でしたが、評判のよくない人であったために、子路はこのことに反発しました。すると孔子先生は子路に向って、私によこしまなところがあれば天が私を見捨てるだろう、とおっしゃいました。自分の理想の実現のために行動して弟子の批判を受けましたが、それでも先生はご自分の天命を信じ、自らの誠を天に誓われました。

A Vow of Sincerity Before Heaven
Confucius met with Nanzi, the wife of Duke Ling of Wei. Although Nanzi was a woman of great influence, her reputation was tarnished, and this aroused Zilu’s disapproval. Confucius said to him, “If there is any unrighteousness in me, may Heaven forsake me.” Though he acted in pursuit of his ideals and endured his disciple’s criticism, the Master continued to trust in his Heavenly Mandate and pledged his sincerity before Heaven.

漢文と書き下し文

子見南子。子路不說。夫子矢之曰、予所否者、天厭之、天厭之。 子(し)、南子(なんし)を見(み)る。子路(しろ)説(よろこ)ばず。夫子(ふうし)之(これ)に矢(ちか)いて曰(いわ)く、予(わ)が否(ひ)なる所(ところ)は、天(てん)之(これ)を厭(た)たん。天(てん)之(これ)を厭(た)たんと。

現代語訳

孔子先生が衛の霊公の夫人である南子にお会いになった。(南子は評判がよくない人であったので)子路はそのことに批判的であった。先生は子路に向って誓い、このようにおっしゃった。「私によこしまなところがあれば、天が私を見放すだろう。天が私を見放すだろう。」

解説

  • 南子(なんし):衛の霊公の夫人。不品行であったといわれており、評判がよくなかった。
  • 子路(しろ):子路は孔子より九歳年下で門人中最年長者。孔門十哲のひとり。力が強く武勇に優れており、弟子の中でも剛勇無双であった。性格はいささか軽率な面もあるが、正義感が強く率直な人柄は孔子にも愛され、「論語」への登場回数は最多。 参考:Wikipedia 子路
  • 説(よろこ)ばず:よろこぶ、神意がとける、うちとける、たのしむ。
  • 夫子(ふうし):先生。孔子の尊称。
  • 矢(ちか)いて:誓う(古く誓約のときに矢を用いることがあった)
  • 否(ひ)なる所(ところ):よこしまなところ、道に外れたところ
  • 天(てん)之(これ)を厭(た)たん:天が私を見捨てるだろう