
弟子の樊遅(はんち)に問われて、孔子先生が「知」と「仁」を解説されています。
「知」とは、自分の役割を果たし、人としての道をつとめることで、神仏は敬うけれども何かあったら神頼みということはない。嫌なことどうぞ来ませんようにと神に祈るのではなく、嫌なことが来ても揺らがない自分をつくるのが儒家の思想です。
「仁」とは人が避けるような困難な仕事を率先して引き受けて、何かを得ることは後回しにすること。仁は思いやりというだけではなく、人としてやるべきことをやるという意味もあるんですね。
Fulfilling One’s Human Responsibilities
In response to a question from his disciple Fanzhi, Confucius explained the virtues of wisdom and benevolence.
Wisdom means fulfilling one’s role and carrying out one’s duty as a human being. It is to revere the gods and spirits, but not to depend on them in times of trouble. Instead of praying that misfortune will not come, one should cultivate a self that remains unshaken even when misfortune does come. This is the Confucian way of thought.
Benevolence means to willingly take on the difficult tasks that others would avoid, and to put one’s own gain last. Benevolence is not merely compassion; it also means doing what one ought to do as a human being.
漢文と書き下し文
樊遲問知。子曰、務民之義、敬鬼神而遠之。可謂知矣。問仁。曰、仁者先難而後獲。可謂仁矣。
樊遅(はんち)知(ち)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、民(たみ)の義(ぎ)を務(つと)め、鬼神(きしん)を敬(けい)して之(これ)を遠(とお)ざく。知(ち)と謂(い)う可(べ)しと。仁(じん)を問(と)う。曰(いわ)く、仁者(じんしゃ)は難(かた)きを先(さき)にして獲(う)ることを後(のち)にす。仁(じん)と謂(い)う可(べ)しと。
現代語訳
弟子の樊遅が知について質問した。先生は、「人の道をつとめ、先祖の霊や神々をうやまうが、一定の距離をおく、これが知である。」と答えた。次に仁について質問した。先生は、「仁者は難しい仕事を率先して行って、得ることは後回しにする。それが仁だ。」とおっしゃった。
解説
- 樊遅(はんち):孔子より36~46歳年少の若い弟子で、分からないことを質問をする素直さがある。
- 知(ち):知者の行い
- 民(たみ)の義(ぎ):人として守るべき正しい道
- 鬼神(きしん):「鬼」は死者の霊魂、「神」は天地の神霊
- 敬(けい):うやまう、神事をつつしむ、神事につかえる
- 遠(とお)ざく:一定の距離を置く

