論語【雍也第六】130. 始める前に諦めるな

高弟の一人である冉求が、「先生の教えの素晴らしさは分かっています。でも、私にはその教えを本当に生き抜くだけの力がありません。」と弱音を吐きますと、孔子先生は、「力のない者は挑戦しても途中でやめることにはなるだろう。しかしお前は今、やってみる前から自分で自分の限界を決めている。」と厳しく叱責します。人間にはすごい力があるのに、それを発揮することなく自分で自分の限界を決めずに挑戦しなさい、という言外の激励も感じられる章句です。

Do Not Give Up Before You Begin
One of Confucius’s close disciples, Ran Qiu, once said, “Master, I know how wonderful your teachings are. But I do not have the strength to truly live them out.” Confucius replied, “Those who truly lack strength may stop halfway, even after trying. But you — you have already set limits for yourself before even beginning.” He admonished him sternly, yet this passage also carries encouragement: we humans possess great potential, and should not restrict ourselves with self-imposed limits before we even try.

漢文と書き下し文

冉求曰、非不說子之道。力不足也。子曰、力不足者、中道而廢。今女畫。 冉求(ぜんきゅう)曰(いわ)く、子(し)の道(みち)を説(よろこ)ばざるに非(あら)ず。力(ちから)足(た)らざるなりと。子(し)曰(いわ)く、力(ちから)足(た)らざる者(もの)は、中道(ちゅうどう)にして廃(はい)す。今(いま)、女(なんじ)は画(かぎ)れりと。

現代語訳

弟子の冉求が、「先生の教えは素晴らしいものだと分かっていますが、その教えを本当に実践して生きるには、私には力が足りません。」と言った。すると孔子先生は、「力が足りない者は途中でやめることにはなるだろう。しかしお前は今、自分で自分の能力に限界を設けている。」とおっしゃった。

解説

  • 冉求(ぜんきゅう):孔子の門人の冉有(ぜんゆう)のこと。求は名。孔子より二十九歳若い。孔門十哲の一人で、行政手腕に優れ魯の季孫氏に用いられる。参照:Wikipedia 冉有
  • 子(し)の道(みち):先生の教え
  • 説(よろこ)ぶ:よろこぶ、神意がとける、うちとける、たのしむ。
  • 中道(ちゅうどう):物事の進行のなかほど。達成する途中。
  • 廃(はい)す:それまで続いていたことをすっかりやめてしまう。
  • 画(かぎ)れり:線を引いて境をつける。自分の能力に限界を設ける。