
乾為天(けんいてん)が純粋の陽であるのに対し、坤為地(こんいち) は純粋の陰。
地は「何もしない」ことが尊い。他のよいものを受け入れることができる。地は天からの太陽エネルギーなどを受けて、万物を生成化育させる。従順、消極であることの偉大な力。
陽の聖人は例えば、直接的に社会に働きかけて社会を変革しようとする孔子。陰の聖人は無為自然を説く老子。
何か学ぼうとするとき、分からないのに自分で率先してやろうと思えば迷う。でも人についてゆけば、従うべき先生を得て、学びを進めることができる。
彖(たん)の辞
坤元亨。利牝馬之貞。君子有攸往。先迷後得主。利西南得朋東北喪朋。安貞吉。
坤(こん)は元亨利(げんこうり)、牝馬(ひんば)の貞(てい)。 [坤(こん)は元(おおい)に亨(とお)る、牝馬(ひんば)の貞(てい)に利(よろ)し。] 君子(くんし)、往(ゆ)く攸(ところ)有(あ)り、先(さき)んずれば迷(まよ)い、後(おく)るれば主(しゅ)を得(う)。西南(せいなん)に朋(とも)を得(え)、東北(とうほく)に朋(とも)を喪(うしな)うに利(よろ)し。貞(てい)に安(やす)んずれば吉(きつ)。
読書メモ
- 地それ自身は万物を生成化育する力を持っていないが、天の元気を受け、主として太陽の光と熱などではじめて万物を生成化育する。
- 乾の卦は純粋の自力、坤の卦は純粋の他力で消極。このため坤は何の抵抗もなく天の元気を受け入れる。
- 乾は天子、坤は皇后。乾は君主の道を説き、坤は臣下の道を説く。
- 孔子のように世の中に働きかけて改革しようというのは陽性の聖人。老子は陰の聖人。
彖(たん)の辞の解説
- 坤は牝の馬。従順。こちらから他に働きかけることなく、向こうから働きかけてくるのに従順に従い、正しくかつ固い。
- 坤の卦には何もなく、何もないことが尊い。他の良いものを受け入れることができる。坤の気がものを始め、伸ばし、便利を得しめて固くすることができるのはこのため。従順、消極であることから得られる偉大な力。
- 絶対の無我、絶対他力本願。
- 坤の卦の道を学ぶ君子は、自分が先導しようとすると道に迷う。自分が人に遅れて行けば、従うべき人があり、事が上手く運ぶ。時勢に先立たず、すぐ後をついてゆく。
- 「西南(せいなん)に朋(とも)を得(え)、東北(とうほく)に朋(とも)を喪(うしな)う」のが良いという意味は、例えばまだ学生のときは身近な友を友とし、社会に出て高い地位についたならば、用いるべき人を用いることが良く、そうでないと公私混同になるという意味。
- 「貞(てい)に安(やす)んず」の貞とは正しい道を堅固に守ること。安(やす)んずとは落ち着いてそこに座って動かないこと。そうすれば吉。
- 彖(たん)の辞は、坤の卦は純粋に消極・従順であり、すべて乾の卦に従うべきであり、そこから乾の卦の広大な徳が生ずることを説く。


