論語【学而第一】2. 根本を重視する

漢文と書き下し文

有子曰、其爲人也、孝弟而好犯上者鮮矣。不好犯上而好作亂者、未之有也。君子務本。本立而道生。孝弟也者、其爲仁之本與。

有子(ゆうし)曰(いわ)く、其(そ)の人(ひと)と為(な)りや、孝弟(こうてい)にして上(かみ)を犯(おか)すを好(この)む者(もの)は鮮(すく)なし。上(かみ)を犯(おか)すことを好(この)まずして乱(らん)を作(な)すことを好(この)む者(もの)は、未(いま)だ之(これ)有(あ)らざるなり。君子(くんし)は本(もと)を務(つと)む。本(もと)立(た)ちて道(みち)生(しょう)ず。孝弟(こうてい)なる者(もの)は、其(そ)れ仁(じん)の本(もと)為(た)るか。

現代語訳

有子(ゆうし)はこのように言った。その人となりが家庭の中で親孝行であり、目上の兄弟を敬うのに、社会に出て目上の人に反抗することを好む人は少ない。目上の人に反抗することを好まないのに、社会を乱すことを好む人はいたためしがない。りっぱな人は根本的なことに務める。根本が確立すると、道理が生ずる。家庭の中で親兄弟に敬いの心で接することが、仁(他者への思いやり)のもととなっている。

解説

  • 有子(ゆうし):孔子の弟子の有若(ゆうじゃく)。学而篇では有子(ゆうし)と呼ばれ、曾子(そうし)・冉子(ぜんし)・閔子(びんし)とならんで「子」がつけられていることから、重視されていたことがわかる。孔子よりも30~40歳ほど若く、風貌が孔子に似ていたとされる。政治学を学び、政で活躍した。学而篇12の「和をもって貴しとなす」は広く知られる。(参考:ウィキペディア「有若」
  • 道、道理には人間のつくった法律と天の道理の二つがある。
    法律ではよくても「何かおかしい」のは、天の道理があるから。
  • 家庭の中で親や目上の兄弟を敬う「孝弟(こうてい)」が、社会に出て他者を思いやる「仁(じん)」のもととなっている。
    仁は、世界が平和で、人々が穏やかで幸せであるようにと願う心のこと。