【易経講話】9. 風天小畜(ふうてんしょうちく)

風天小畜は、天である乾の卦が下にあり、それが上に進もうとするのを上にある風である巽の卦がおしとどめている形。小さな存在、つまり陰である風が大きな存在、つまり陽である天をおしとどめようとすることは困難です。

これは例えば君主に悪い行いがあることを諫めようとする臣下の状況で、中間にいる佞臣によってその意見が遮られるなど、簡単には行きません。

しかし臣下が柔和従順な心をもって君主の心を和らげる努力を困難でも続けることによって、その志は亨(とお)ることを風天小畜の卦は示しています。

Wind over Heaven is a hexagram in which Heaven lies below and seeks to rise, but is held back by Wind above. It depicts a situation where a small force—the yin nature of the wind—tries to restrain a great force—the yang nature of heaven—which is inherently difficult.

This can be likened to a loyal minister attempting to remonstrate with a ruler who is in the wrong, only to have his words obstructed by sycophantic courtiers in between. Such efforts do not succeed easily.

Yet, this hexagram teaches that if the minister continues to make sincere efforts with a gentle and yielding heart to soften the ruler’s mind, even amid obstacles, his true intention will eventually find a way forward.

彖(たん)の辞

小畜亨。密雲不雨。自我西郊。 小畜(しょうちく)は亨(とお)る。密雲(みつうん)、雨(あめ)ふらず、我(わ)が西郊(せいこう)よりす。

読書メモ

  • 畜の辞には「とどめる」と「たくわえる」と二つの意味がある。小畜というのは、ちいさいものがある大きい物を畜(とど)めること。また、少し止めること。あるいは、小さいものが他の大きいものを少し貯えること。
  • 前の卦である水地比(すいちひ)は比(したし)むなり。多くの人が相親しみ和合するときには、ものを貯蓄できる。家庭や国家が和合するときは、財貨の貯蓄ができて豊かになる。
  • 小さいものが大きいものを止めるとは、陰が陽を止めること。臣下が君主を、妻が夫を、子が親を止める。小畜がまずく行くと下剋上になる。
  • 小さいものが大きいものを止めるのは不自然であり、破綻を免れないが、そうしなければならない場合もある。例えば小さい堤防で大きな川の流れの氾濫を防ぐなど。
  • 巽の卦は、巽順にへりくだって、柔和な徳をもって剛健にして強力な乾を和らげて、乾を止める。小さいものが大きいものを止めるのは難しいが、内が剛健、外は巽順の徳によってその道が亨り、その志が行われる。

彖の辞の解説

  • 密雲とは、空一面に雲がいきわたっていること。地上から雲が起こっても天の気と一致しないので、雲は風に吹き飛ばされてまだ雨は降らない。それでも我が国の西の郊外から、盛んに雲が湧き起こっている。
  • 我とは文王自身のこと。当時、殷の紂王は暴虐無動であった。周の文王は諸侯であり臣下。心をつくしていさめたりしても、佞臣に遮られ、まだ文王の意見は行われない。
  • 小畜は小さいもの(陰)が大きいもの(陽)を畜(とど)める卦。君主に悪い行いがあるとき、臣下がそれを諫め止めようとするが容易でない。それでも臣下は従順の徳をもって君主の心を和らげる。
  • この卦は、内には剛健なる徳、外には巽順なる徳を持っているので、ついにはその道が亨り、その志が行われるようになる。しかし今は、雲が空一面にあっても、まだ天の気と和合せず、雨とならないように、君主は臣下の言葉を用いない。それにもかかわらず、西から湧き起こる雲のように、臣下は苦心努力を続ける。