論語【為政第二】34. 職を得るには

弟子の 子張(しちょう)は、どうすれば仕官できるのかな?と考えながら学びをすすめています。というか学ぶ目的が仕事を得ることのようです。子張(しちょう)は孔子一門の最年少の若い弟子で、才気ばしって仁には少々欠け、やりすぎ傾向があると孔子先生や兄弟子に評価されているようです。

子張が就活に悩んでいることを察知した孔子先生は、「まずは見聞を広げなさい、その上で判断力をもって不確かな情報は除いて慎重に言動に移しなさい、そうしているうちに、向こうからスカウトされるから。」とおっしゃいます。

二千五百年前から、多く見聞してその上で不確かな情報を除くことのできる技術というのはとても重要だったことが分かります。

見聞は大いに広げなさい、という発展的な陽の側面と、だけど何を信じて実際の言動に移すのかは慎重に判断するんだよという守りの陰の側面のバランスが大事で、それができれば成功するよ、というアドバイスですね。

書き下し文

子張(しちょう)禄(ろく)を干(もと)むることを学(まな)ぶ。子(し)曰(いわ)く、多(おお)く聞(き)きて疑(うた)がわしきを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を言(い)えば、則(すなわ)ち尤(とがめ)寡(すくな)し。多(おお)く見(み)て殆(あやう)きを闕(か)き、慎(つつし)みて其(そ)の余(よ)を行(おこな)えば、則(すなわ)ち悔(く)い寡(すくな)し。言(げん)に尤(とが)め寡(すくな)く、行(おこな)いに悔(くい)寡(すくな)ければ、禄(ろく)其(そ)の中(うち)に在(あ)り。

現代語訳

子張(しちょう)は、どうすれば仕官できるかと考えて学んでいた。孔子先生はこのようにおっしゃった。「多くのことを聞いて疑わしいものは除き、慎重にそれ以外のことを言えば、とがめられることが少ない。多くのものを見て危ういものは除いて、慎重にそれ以外のことを行えば、後悔することが少ない。言葉にとがめられる点が少なく、行動に後悔が少なければ、俸禄はついてくる。」

字句の解説

  • 子張(しちょう):孔子一門でも最年少で孔子先生より48歳若いといわれる。頭の良い野心的な人だったのでしょうか。孔子先生からは「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」の「過」と評価され、兄弟子からは「優れた人材だが、仁に至っていない」などと評価されたようです。
    ウィキペディア 子張
  • 禄(ろく):俸禄、俸給。給料。
  • 禄(ろく)を干(もと)むる:仕官を希望する。仕事を得たいと思う。
  • 慎(つつし)みて:用心深く、慎重に
  • 殆(あやう)き:危ういこと、危険なこと、あやふやなこと。
  • 悔(く)い:後悔すること。