
孔子先生は、自分の出自がいやしいことを気にしている弟子の仲弓に、「気にするな」とおっしゃっています。才能を認めている弟子に、生まれや育ちはどうでもよく、君自身がどういう人間であるかが問題なんだと。春秋時代の中国といえば血族主義が当たり前ですから、それを気にするなとは、孔子先生は二千五百年前から先進的な実力主義、平等主義者だったんですね。
Character Over Heritage
Confucius told his disciple Zhonggong, who was troubled by his humble origins, “Don’t let it concern you.” Recognizing his talent, Confucius emphasized that a person’s worth is not determined by birth or upbringing, but by their character. In the Spring and Autumn period of China, where kinship and lineage were everything, his words were remarkably progressive. Even 2,500 years ago, Confucius stood for meritocracy and equality.
漢文と書き下し文
子謂仲弓曰、犂牛之子、騂且角、雖欲勿用、山川其舍諸。
子(し)、仲弓(ちゅうきゅう)に謂(い)いて曰(いわ)く、犂牛(りぎゅう)の子(こ)も、騂(あか)くして且(か)つ角(かく)ならば、用(もち)うること勿(な)からんと欲(ほっ)すと雖(いえど)も、山川(さんせん)其(そ)れ諸(これ)を舎(す)てんやと。
現代語訳
孔子先生は仲弓にこのようにおっしゃった。「斑牛の子であっても、赤毛で角が立派であれば、祭祀の生贄として用いることはできないという人がいても、山の神や川の神は捨ててはおかないだろう。」
解説
- 仲弓(ちゅうきゅう):孔子の弟子で孔門十哲の一人。姓は冉(ぜん)、名は雍(よう)。仲弓は字。 「論語【雍也第六】121. 天を敬い慎む心で大切なことを選ぶ」では、孔子から「雍(よう)や南面(なんめん)せしむ可(べ)し」と君子の器であると評価されている。参考:ウィキペディア 仲弓
- 犂牛(りぎゅう):耕作に用いる斑(まだら)牛。犂牛の子とは、身分の低い家柄出身の仲弓のことを言っている。仲弓の父は賤人であった。
- 騂(あか):あかい。あかうし。いけにえにする赤色の牛。
- 角(かく):角が立派である
- 用(もち)うる:生贄として用いる
- 山川(さんせん):山川の神

